製氷機は、ドリンクを出すお店ならほぼ必ず置く機器です。ただ、開業準備では冷蔵庫やコンロに比べて後回しにされやすく、「置く場所に排水がなかった」「夏場に氷が足りない」と、営業を始めてから困るケースをよく見かけます。

製氷機は水道と排水につなぐ機器なので、置き場所を後から変えるのが簡単ではありません。ここでは、機種を選ぶ前に決めておきたいことを順番に見ていきます。

この記事のポイント

1最初に氷の形を決める。ドリンク用か、食材を冷やす用かで変わる

2カタログでは1日に作れる量と貯めておける量を分けて見る

3機種より先に給水・排水・電源・放熱スペースが置き場所にあるかを確かめる

氷の形と用途

業務用製氷機は、作る氷の形によって機種が分かれます。同じ「氷」でも用途が違うので、何に使うかから考えます。

キューブアイス角形の氷。グラスのドリンク用として多くの飲食店で使われる
チップアイス小さく砕けた氷。ドリンクのほか、食材を冷やす用途にも
フレークアイス薄く柔らかい氷。鮮魚の陳列など、食材を冷やして見せる用途に

居酒屋やカフェのように飲み物が中心ならキューブアイス、寿司店や鮮魚を扱うお店なら食材用の氷も必要、というように、業態で選び方が変わります。両方必要なお店では、2台に分けることもあります。業態ごとにそろえる機器は飲食店の開業に必要な厨房機器リストにまとめています。

作れる量と貯めておける量

製氷機のカタログには、だいたい2つの数字が載っています。

項目 意味 見るときの考え方
製氷能力(1日あたり) 24時間で作れる氷の量 1日を通して使う氷が足りるか
ストック量(貯氷量) 本体の中に貯めておける氷の量 ピーク時にまとめて使っても足りるか

ここでよくある勘違いは、「1日に作れる量が足りていれば大丈夫」という考え方です。氷は少しずつ作られるので、ランチやディナーのピークに一気に使うと、貯めておいた分が先に尽きます。開店前に満杯にしておき、ピークで使い切らないだけのストック量があるかも見てください。

もう一つ、製氷能力は気温と水温の影響を受けます。カタログの数字は決まった条件で測ったもので、真夏の暑い厨房では作れる量が落ちます。ぎりぎりの機種を選ぶと、夏場に足りなくなりがちです。夏に氷の出来が落ちる原因は製氷機の氷ができない・少ない原因でも説明しています。

氷の量を見積もるときに考えること

  • 1日の客数と、ドリンクの杯数
  • いちばん混む時間帯の杯数
  • ドリンク以外の用途(食材の冷却など)
  • 夏場にどこまで増えるか
  • テイクアウトで氷を使うか
  • 将来メニューを増やす予定

本体の形と置く場所

製氷機の本体にも形の違いがあります。厨房の広さと動線で選びます。

アンダーカウンター型

  • 作業台やカウンターの下に収まる高さ
  • ドリンクを作る場所の手元に置ける
  • 小〜中規模のお店で多い
  • 上に熱い機器を置かない工夫が要る

縦型(バーチカル型など)

  • 床に立てて置く、背の高い形
  • ストック量を多くとりやすい
  • 氷をたくさん使うお店向き
  • 置ける壁際のスペースが必要

カウンターの下に入れる場合は、高さと奥行きが収まるかに加えて、前面の扉を開けて氷をすくえるかも確かめます。厨房全体の配置は飲食店の厨房レイアウトの基本もあわせてご覧ください。

給水・排水と電源

開業の現場で失敗がいちばん多いのが、この部分です。製氷機は水道から水を取り、溶けた水や製氷の過程で出た水を排水します。置きたい場所の近くに給水と排水がなければ、その場所には置けません。

壁 製氷機 (本体) 給水(水道) 排水 下り勾配で排水口へ 電源 放熱のすき間 熱い機器 は離す
給水・排水・電源・放熱の4つがそろう場所に置きます(配置は一例です)

給水

水道の配管から分岐して製氷機につなぎます。水質によっては氷が白く濁ったり、内部に水あかがたまりやすくなったりするため、浄水器を付けるかどうかもこの段階で検討します(製氷機の氷が白い・味がおかしい原因)。

排水

製氷機の排水は、水が自然に流れる下り勾配で排水口まで導く必要があります。排水口が遠い、床より低い位置にしか取れない、といった場所では水がうまく流れず、水漏れの原因になります。設置後に「下に水がたまる」という相談は少なくありません(製氷機から水漏れする原因)。

電源

多くの製氷機は100Vですが、能力の大きな機種には200Vが必要なものもあります。カタログの電源欄を見て、置き場所にその電源があるかを確かめます。

放熱のすき間

一般的な空冷式の製氷機は、本体の熱を空気に逃がしながら氷を作ります。壁や他の機器にぴったり付けたり、コンロの横に置いたりすると熱がこもり、製氷量が落ちます。必要なすき間は機種ごとに違うので、据付説明書で確かめてください。

選ぶ前の確認の順番

ここまでの内容を、選ぶ順番に並べるとこうなります。

用途氷の形を決める
量製氷能力とストック量
置き場所給排水・電源・放熱
機種サイズと形で絞る

機種のカタログを先に見ると、置き場所の条件が後回しになりがちです。内装の工事が始まる前、厨房の図面の段階で置き場所を決めておくと、給排水や電源の位置を工事に合わせて用意できます。

長く使うために見ておきたいこと

製氷機は水を扱う機器なので、使っているうちに内部に水あかや汚れがたまります。洗浄のしやすさや、点検・修理を頼める先があるかも、選ぶ段階で考えておきたい点です。新品にはメーカー保証がつきますが、保証が切れた後の洗浄・点検をどうするかは製氷機のメンテナンス契約は必要?で解説しています。冷蔵庫も一緒に選ぶ方は業務用冷蔵庫の選び方もどうぞ。

製氷機の選定・購入は当社へご相談ください

豊翔メンテナンスサービスは、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業をお手伝いしています。ホシザキ・パナソニック・大和冷機・フクシマガリレイなど主要メーカーの新品を扱っており、メーカーをまたいで比べてご提案できます。給水・排水・電気の接続工事が必要な場合も、提携業者と連携して手配します。

開業後は、製氷機の洗浄や点検といった保守もそのまま引き受けられます。「この業態なら製氷能力はどれくらい?」「この場所に置けるか見てほしい」といった段階からご相談ください。費用は機種や設置の状態で変わります。お電話・Webでのご相談は無料です。機器販売のご案内/開業支援の詳細はこちら。