業務用の食洗機を入れると、毎日の洗い物の手間は大きく減ります。ただ、開業の準備では「本体が入るか」だけを見て決めてしまい、あとから「電源が三相200Vだった」「給湯が足りない」「湯気で天井が結露する」と困る例があります。

食洗機は電気・お湯・水・排水の4つにつながる機器で、厨房機器の中でも設置の条件が多いほうです。ここでは、タイプの違いから設置前の確認まで、選ぶ順番に沿って見ていきます。

この記事のポイント

1タイプは洗う量と置き場所で決まる。小さなお店は台下、量が多いならドアタイプ

2機種より先に電源・給湯・給水・排水・湯気の逃げ道がそろうかを確かめる

3本体価格だけでなく、水・電気・洗剤の毎日の費用も含めて比べる

業務用食洗機の選び方は、順番で考えると迷いません。まず、いちばん混む時間帯に洗う量でタイプを決めます。次に、置きたい場所に電源・給湯・給排水・湯気の逃げ道がそろうかを確かめ、使える機種に絞ります。洗い物が限られる小さなカフェやバーはアンダーカウンター、ランチの回転が速いお店や食器の多い居酒屋はドアタイプが候補になることが多くなります。

業務用食洗機の主なタイプ

業務用の食洗機は、形と洗える量で大きく3つに分かれます。

アンダーカウンター(台下)作業台やカウンターの下に収まる高さ。前の扉を開けてラックを出し入れする
ドアタイプ本体の扉(フード)を上げ下げして洗う。立ったままラックを出し入れできる
コンベアタイプラックを流しながら続けて洗う。大量の食器を扱う施設向け

向くお店の規模を、一般的な目安として表にまとめます。席数や洗える枚数の数字は機種ごとに違うため、候補の機種のカタログで確かめてください。

タイプ 一般的に向くお店 気をつけたい点
アンダーカウンター 小規模なお店、カフェやバーなど洗い物が限られるお店 腰をかがめて出し入れする。上に熱い機器を置かない
ドアタイプ 中〜大規模のお店、回転が速いお店、油汚れの多い業態 三相200Vの機種が多い。湯気が出るので換気の計画が要る
コンベアタイプ 給食施設、ホテル、大きな宴会場など 設置の幅が大きく、電源・給排水・換気の工事も大がかり

メーカーによっては、ドアタイプを小さくした「小形ドアタイプ」など、中間の大きさの機種もあります。ランチとディナーで洗い物の山ができるお店は、台下では回りきらずドアタイプにする、という選び方が多くなります。

洗う量から大きさを考える

大きさを決めるときは、1日の合計よりも、いちばん混む時間帯にどれだけ洗うかを見ます。食器が戻ってくる速さに洗うほうが追いつかないと、洗い場に食器がたまり、提供が止まります。

洗う量を見積もるときに考えること

  • ピークの1時間に戻ってくる食器の数
  • 大皿・丼・トレーなど大きな食器の割合
  • グラスやジョッキの数
  • 鍋やバットなど調理器具も洗うか
  • 洗い場に立てる人数
  • 将来、席数やメニューを増やす予定

カタログには「1時間あたりのラック数」や「大皿の枚数」が載っていますが、決まった条件で測った数字です。予洗いの手間や食器の形でも実際の量は変わるので、ぎりぎりの機種は避けたほうが安心です。業態ごとにそろえる機器の全体像は飲食店の開業に必要な厨房機器リストにまとめています。

設置前に確認すること

食洗機は、置きたい場所に次の条件がそろっていないと使えません。機種のカタログを見る前に、物件側を確かめておきます。

換気フード 湯気を逃がす 食洗機 (本体) 給湯器 ブースター お湯(給湯) 給水(水圧も確認) 排水 排水口・グリストラップへ 電源 単相 or 三相200V
電源・給湯・給水・排水・換気の5つがそろう場所に置きます(給湯器をつなぐか、ブースターが本体に入っているかは機種で違います)

電源:単相か三相か、容量は足りるか

同じタイプでも、電源は機種で分かれます。たとえばホシザキのアンダーカウンタータイプには単相100V・単相200V・三相200Vの機種があり、ドアタイプは三相200Vの機種が中心です。三相200Vは照明やコンセントとは別の「動力」の契約になるのが一般的で、物件に動力が来ていなければ引き込みの工事から始まります。

電源の種類に加えて、仕様書の容量(kVA)も見ます。お湯を温めるヒーターを持つ食洗機は電気を多く使うため、ほかの機器と合わせて契約やブレーカーに余裕があるかを確かめます。詳しくは厨房の電気容量と200V(動力)で解説しています。

給湯とブースター

業務用食洗機は、お湯の温度で汚れを落とし、すすぎで衛生を保ちます。ホシザキの解説では、すすぎは80℃を下回らない温度設定が勧められています。そのため、機種ごとに「給湯器のお湯をつなぐ」「水道の水を本体やブースターで温める」といった前提が決まっています。

お湯を温める仕組みは、本体にお湯をためる「貯湯タンク内蔵」と、別に置く「ブースター」で温める方式に分かれます。ブースターにはガス式があり、その場合は電気に加えてガスの配管も必要です。どちらの方式か、給湯器をつなぐ必要があるか、つなぐなら何度のお湯が要るかは、機種の仕様書や据付説明書で確かめます。営業を始めてからお湯がぬるいと感じる場合の原因は業務用食洗機が動かない・お湯が出ない原因と対処法にまとめています。

給水圧と排水

すすぎの水は勢いよく吹き付けて使います。必要な水圧は機種の据付説明書で確かめ、建物の水圧で足りるかを設置前に見ておきます。古いビルや上の階では水圧が低いこともあります。

食洗機は一度に流す排水の量が多い機器です。排水口までの距離や勾配、グリストラップにつながる経路も確認します。排水が流れにくい場所に置くと、水漏れやにおいの原因になります(厨房の排水が流れない・悪臭がする原因)。

設置スペース・搬入経路・湯気

本体の寸法だけでなく、ドアタイプなら扉を上げたときの高さ、台下なら扉を開いてラックを引き出す奥行きも必要です。入口や通路を本体が通るかも、早めに測っておきます。

ドアタイプは扉を上げるたびに湯気が出ます。換気フードの位置や天井の結露も考えておきたい点です。ホシザキには、湯気を外に出しにくくした機種や、蒸気を回収して排気フードが要らないとする機種もあります。

確認の順番を並べると、次のようになります。

洗う量ピーク時の食器の数
タイプ台下・ドア・コンベア
設置条件電源・給湯・給排水・換気
機種寸法と仕様で絞る

内装工事が始まってからでは、電源や給湯の位置を変えるのが難しくなります。厨房の図面を描く段階で置き場所を決めておきましょう。配置の考え方は飲食店の厨房レイアウトの基本をご覧ください。

洗剤・リンス剤の自動供給

業務用食洗機は、専用の洗剤と、すすぎの仕上げに使うリンス剤(乾燥仕上げ剤)を使います。洗剤供給装置・リンス剤供給装置を付けると、タンクから自動で送れます。

自動で送れば、入れ忘れや入れすぎを防げます。それでもタンクの補充は人の仕事です。ホシザキの使い方の解説では、残量が3cm以下になったら交換の目安としています。タンクの置き場所と、残量を見る担当を決めておきましょう。汚れが落ちにくくなったときの見直し方は業務用食洗機の洗浄力が落ちた原因と対処法にあります。

ランニングコストの考え方

食洗機は、買ったあとも毎日お金がかかる機器です。かかるのは主に次の3つです。

  • 水道代:洗浄とすすぎに使う水
  • 電気代とガス代:お湯を温め、温度を保つ分
  • 洗剤とリンス剤:洗う回数に応じて減る

本体価格だけで決めると、毎日の費用で差がつくことがあります。

本体価格だけで選ぶと

  • 量に合わず、何度も回して水と電気が増える
  • 電源や給湯が合わず、追加工事が発生
  • ピークに洗いきれず、食器を買い足す

毎日の費用まで見て選ぶと

  • 1回で洗える量が合い、運転回数が少ない
  • 設置工事を最初の計画に入れられる
  • 洗い場の手間が読め、人の配置を決めやすい

メーカーのカタログには、節水や省エネをうたう機種や、試算の例が載っていることがあります。試算は決まった条件で出した数字なので、自分のお店の営業時間と洗う量に置き換えて見てください。費用は機器や状態で変わるため、候補を2〜3機種に絞ってから比べると判断しやすくなります。

新品と中古の考え方

開業資金を抑えるために中古を検討する方もいます。中古は本体価格を抑えられますが、製造年やそれまでの使われ方がわからず、保証がつかないことも多くあります。食洗機はお湯と水を毎日使うため、ヒーターやポンプ、配管まわりの傷み具合で、使える年数が変わります。

当社は中古機器の販売・買取は行っておらず、新品の機器をご案内しています。新品はメーカー保証がつくので、開業直後の故障に備えられます。保証が切れたあとの点検や修理をどこに頼むかも、選ぶ段階で決めておくと慌てずに済みます。冷蔵庫や製氷機も一緒に選ぶ方は、業務用冷蔵庫の選び方と製氷機の選び方もどうぞ。

よくある質問

Q. 業務用食洗機の電源は、どの順番で入れればいいですか? A. 手順は機種で違うため、取扱説明書の順番に従ってください。多くの機種では、給水・給湯の元栓と電源が入っていることを確かめてから本体のスイッチを入れ、洗浄タンクにお湯がたまって設定の温度まで上がってから洗い始めます。取扱説明書が見当たらない場合も、型式が分かれば当社でご用意します(古い機種など、用意できない場合もあります)。

Q. 小さなお店でも三相200Vの食洗機が必要ですか? A. 必ずしも必要ではありません。アンダーカウンタータイプには単相100V・単相200Vの機種もあります。物件に来ている電源と、洗う量の両方から機種を選びます。

Q. 台下(アンダーカウンター)とドアタイプ、どちらを選べばいいですか? A. 洗い物が限られ、置き場所がカウンターの下しかないお店は台下が向きます。ピークに食器がたまりやすい、大皿や丼が多いお店はドアタイプが候補です。ドアタイプは三相200Vの機種が多いため、物件に来ている電源もあわせて確かめます。

Q. 食洗機を置くには、どんな工事が必要ですか? A. 電源(三相200Vなら動力の引き込み)、給水・給湯、排水の接続が必要です。当社で機器をお求めの場合、設置時の電気・給排水の接続工事は提携業者と連携して手配します。内装・配管の工事そのものは行っていません。

Q. 給湯器がない物件でも食洗機は使えますか? A. 本体やブースターで水を温める機種なら使える場合があります。そのぶん電気やガスを多く使うので、電気の容量やガスの配管もあわせて確かめます。

業務用食洗機の選定・購入は当社へご相談ください

豊翔メンテナンスサービスは、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業をお手伝いしています。業界歴15年、ホシザキ・パナソニック・大和冷機・フクシマガリレイ・中西製作所・マルゼン・タニコーと直接取引があり、業態・席数・予算から、メーカーをまたいで機種と大きさをご提案します。電気や給排水の接続工事が必要な場合も、提携業者と連携して設置まで手配します(内装・配管工事そのものは行っていません)。

開業後は、食洗機の点検や修理を年間保守契約で引き受けることもできます(サービス・料金)。「台下とドアタイプ、うちはどっち?」「この物件の電源で使える機種は?」といった段階からご相談ください。お電話・Webでのご相談は無料です。お電話は 070-9010-9519(平日 9:00〜18:00)へ。機器販売のご案内/開業支援の詳細はこちら。