ガスコンロや中華レンジ、フライヤー、ガス炊飯器。飲食店の厨房では、火を使う機器の多くがガスで動きます。ところが機器を選ぶ段階で、物件のガスの条件まで確かめている方はあまり多くありません。

ガス機器には、つなぐガスの種類が決まっています。さらに、物件に来ているガスの量には上限があります。この2つを確かめずに機器を決めると、届いた機器がそのままでは使えなかったり、全部の火をつけたとたんに火力が落ちたりします。

この記事のポイント

1ガス機器は都市ガス用とプロパン用で別の機種。物件のガスに合わないものはつながない

2容量は、同時に使う機器のガス消費量の合計で考える。メーターと配管が足りるかを確認

3確かめるのは機器を決める前。ガスの工事は、ガス会社や資格を持つ業者が行う

開業準備の全体の段取りは飲食店の開業までの流れとスケジュールにまとめています。電気については厨房の電気容量と200V(動力)で別に解説しました。この記事はガスの話です。

都市ガスとプロパン(LPガス)

お店に来るガスは、大きく分けて2種類です。道路の下のガス管から来る都市ガスと、ボンベや貯槽から供給されるプロパンガス(LPガス)。どちらが来ているかは、物件の場所や建物によって決まります。

都市ガス プロパンガス(LPガス)
供給のしかた 道路のガス管から ボンベ・貯槽から
機器の表示の例 13A など LPG、プロパンガス用 など
契約先 その地域の都市ガス会社 LPガスの販売事業者
機器の互換 都市ガス用の機器だけ LPガス用の機器だけ

いちばん大事なのは最後の行です。ガス機器は、ガスの種類に合わせて部品や調整が作られています。都市ガス用の機器をプロパンにつなぐことはできませんし、その逆もできません。合わないガスで使うと、炎が大きくなりすぎたり不完全燃焼を起こしたりして危険です。

機器がどちらのガス用かは、本体の銘板(機種名や製造番号が書かれたラベル)や仕様書に書かれています。物件に来ているガスの種類は、ガスメーターやボンベの有無、ガス会社の検針票などで確かめられます。分からなければ、契約しているガス会社に聞くのが確実です。

ガスの種類が違う機器の扱い

居抜き物件に残っている機器や、前のお店で使っていた機器を持ってくる場合、ガスの種類が今の物件と違うことがあります。

ガスの種類を変える作業は、部品の交換と調整が必要です。機種によっては変えられないものもあります。お店の方が自分で部品を替えたり、つないで試したりするのはやめてください。変更できるかどうかは、メーカーやガス会社に確認します。

新しく機器を買う場合は、注文のときに物件のガスの種類を正しく伝えることが何より大切です。同じ機種名でも、都市ガス用とLPガス用で別の品番になっていることが多いからです。

ガス容量の考え方

ガスの種類が合っていても、量が足りなければ機器は本来の力を出せません。ここでいう容量とは、同時にどれだけのガスを流せるかの上限です。メーターの大きさや、メーターから厨房までの配管の太さで決まります。

ガスの供給 ガス管・ボンベ ガスメーター 流せる量の上限 配管 ガスコンロ フライヤー 炊飯器 給湯器 同時に使う機器の消費量の合計 が、メーターと配管の 容量に収まっているか
機器ごとのガス消費量を足し、ピーク時に同時に使う分がメーターと配管に収まるかを見ます(構成は物件によって異なります)

機器の仕様書には、ガス消費量(kW などで表示)が書かれています。これを、同時に使う機器の分だけ足していきます。ランチのピークに、コンロ全口とフライヤーと炊飯器を一度に使うなら、その合計が目安です。厨房の給湯器がガス式なら、それも忘れずに入れてください。

容量が足りないと起きること

開業してから気づくと

  • ピーク時に火力が落ちる・炎が不安定になる
  • 新しく入れた機器が本来の力を出せない
  • メーター交換や配管工事で開業が遅れる
  • 工事の費用が予算に入っていない

機器を決める前に確かめると

  • 容量に収まる機種を選べる
  • 増やす工事が要るなら日程に組み込める
  • 工事費を資金計画に入れられる
  • 開業日から逆算して落ち着いて動ける

前のお店が喫茶店や物販だった物件では、ガスの容量が小さかったり、そもそもガスが引き込まれていなかったりします。中華料理やラーメン店のように強い火力を使う業態ほど、早めの確認が必要です。

物件で確かめたいこと

内見や物件の検討の段階で、次の点を確かめておくと機器選びが進めやすくなります。分からない項目は、不動産会社や管理会社、ガス会社に問い合わせてください。

ガスまわりの確認リスト

  • 都市ガスかプロパンか
  • ガスメーターの場所と大きさ
  • 厨房までの配管が来ているか
  • ガス栓の位置と数
  • 前のお店の業態と使っていた機器
  • 給湯器がガス式か電気式か
  • 換気扇・フードの大きさ
  • ビルの規約で使えるガスに制限があるか

換気も見落とされやすい点です。ガスを燃やすには空気が要り、燃えたあとの排気を外へ出す必要があります。火を使う機器を増やすなら、フードや換気扇の能力もあわせて考えてください。厨房の配置については飲食店の厨房レイアウトの基本もご覧ください。

機器選びまでの進め方

順番を逆にしないことがいちばんのコツです。機器を先に決めてからガスを調べると、選び直しや工事の追加が起きやすくなります。

業態・メニュー使う火力の大きさ
物件のガス確認種類・容量・配管
機器の候補消費量を合計
ガス会社に相談足りなければ工事
注文・設置ガス種を伝えて発注

メーターの交換や配管の工事は、ガス会社やガス工事の資格を持つ業者が行います。工事の内容や費用は、物件の状態や必要な容量で変わるため、見積もりを取って確かめてください。必要な機器の全体像は飲食店の開業に必要な厨房機器リストにまとめています。

ガス臭いと感じたら

開業準備中でも営業中でも、ガス臭いと感じたらすぐ使用を中止し、ガス会社・消防へ連絡してください。火をつけない、換気扇や照明のスイッチに触れない、窓や扉を開けて換気する、が基本です。くわしくは厨房がガス臭いときの対処法をご覧ください。

ガス容量についてよくある質問

Q. ガス容量とは何ですか? 物件に来ているガスを、同時にどれだけ流せるかの上限です。ガスメーターの大きさと、メーターから厨房までの配管の太さで決まります。機器の数が増えても、この上限は変わりません。

Q. 物件のガス容量はどこで確かめられますか? ガスメーターには、流せる量の目安となる「号数」などが表示されているものがあります。ただ、配管の太さもかかわるため、正確な容量は契約しているガス会社に確認するのが確実です。物件の検討中なら、不動産会社や管理会社を通じて聞くこともできます。

Q. 機器のガス消費量はどこに書いてありますか? 機器の仕様書に、ガス消費量が kW などで書かれています。候補の機器ごとに書き出し、ピーク時に同時に使う分を足してください。当社で機器をお選びいただく場合は、候補の機種の消費量もあわせてお伝えします。

Q. 開業してから火が弱いと感じたら? 全部の火を同時に使ったときだけ弱くなるなら、容量不足が考えられます。一つの口だけ弱いなら、バーナーの目詰まりなど機器側の原因もあります。見分け方は業務用ガスコンロの火がつかない・火が弱い原因にまとめています。

ガス機器の選定は当社へご相談ください

豊翔メンテナンスサービスは、愛知県小牧市を拠点に、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業支援を行っています。業態のご提案、物件探しのサポート、補助金の情報提供(申請は専門家と連携)、厨房のレイアウト図の作成、機器の選定、新品の機器販売、開業後の保守まで、厨房まわりをまとめてお手伝いします。

ホシザキ、パナソニック、大和冷機、フクシマガリレイ、中西製作所、マルゼン、タニコーなど主要メーカーの新品を扱っており、物件のガスの種類と容量に合う機種をご提案できます。設置時の電気・給排水の接続工事は提携業者と連携して手配できます。ガスの引き込みやメーター交換の工事はガス会社への相談が必要です(内装・配管工事そのもの、中古機器の販売・買取は行っていません)。

「この物件のガスで、考えている機器が使えるか知りたい」という段階からご相談ください。お電話・Webでのご相談は無料です。詳しくは開業支援、機器の購入は機器販売のページをご覧ください。