カウンター数席のバーや、テイクアウト中心のお店。厨房が畳数枚ほどしかない物件は珍しくありません。狭い厨房では、機器を一台置き間違えるだけで、毎日の仕込みと提供が目に見えて遅くなります。
現場でよく見る失敗は、欲しい機器を先に決めて、空いた所に順番に押し込んでいくやり方です。狭い厨房ほど、順番は逆にしたほうがうまくいきます。
この記事のポイント
1最初に何人で回すかと、いちばん多く作るメニューを決める
2冷やす→下ごしらえ→加熱→盛り付けを一方向に並べ、往復を減らす
3扉の開く向き、放熱のすき間、電気・ガス・給排水の位置を図面の段階で確かめる
厨房レイアウト全般の基本は飲食店の厨房レイアウトの基本にまとめています。この記事は、その中でも面積に余裕がないお店に絞った話です。
最初に決める前提:何人で、何を作るか
狭い厨房のレイアウトは、機器より先に「人」で決まります。
一人で回すなら、その場で振り返るだけで冷蔵庫にも加熱機器にも手が届く配置が理想です。二人で回すなら、すれ違いが起きない通路か、そもそも二人の持ち場を分けてすれ違わずに済む配置が必要になります。
もう一つの前提が、注文がいちばん多いメニューです。ラーメン店ならゆで麺機とスープの寸胴、カフェならエスプレッソマシンと製氷機というように、主役の機器を厨房のいちばん使いやすい位置に置き、そこから他の機器を並べていきます。
並べ方の基本:作業の流れを一方向に
料理は、冷蔵庫から食材を出し、下ごしらえをし、加熱して、盛り付けて出す、という順に進みます。この順番どおりに機器が並んでいると、手と体が一方向に動くだけで一皿が仕上がります。
洗い物の動線は、この流れと交わらない位置に分けるのが理想です。狭くて分けきれない場合でも、下げた食器を置く場所と、盛り付ける場所が同じ台にならないようにしておくと、衛生面でも作業面でも混乱が減ります。
狭い厨房の配置例(I型)
細長い厨房でよく使われるのが、機器を壁ぞいに一列に並べるI型です。下の図は一例で、実際の配置は物件の給排水やガスの位置で変わります。
I型は一人で回すお店と相性がよい配置です。逆に二人で回すと、通路で背中合わせになる時間が増えます。二人体制なら、壁を二面使うL型や、通路をはさんで向かい合うII型も候補に入れて比べてみてください。
狭い厨房でやりがちな失敗
失敗の多くは、機器を置いたときの寸法だけを見て、使っているときの寸法を見ていないことから起きます。
よくある失敗
- 冷蔵庫の扉を開けると通路がふさがる
- 機器を壁にぴったり付けて放熱できない
- コンロの横にすぐ冷蔵庫を置く
- コンセントや給排水の位置を見ずに機器を決める
こうしておくと楽
- 扉の開く向きと開いたときの幅まで図に描く
- 取扱説明書にある放熱のすき間を空ける
- 熱を出す機器と冷やす機器の間に作業台をはさむ
- 電気・ガス・給排水の条件をそろえてから機種を選ぶ
放熱のすき間は特に見落とされがちです。冷蔵庫や製氷機は、周りに熱がこもると冷えが弱り、故障の原因にもなります。開業後に冷えの不調で呼ばれて、原因が置き方だったという例は珍しくありません。冷えが弱いときの見分け方はコールドテーブルが冷えない原因でも触れています。
面積を稼ぐ機器選びの工夫
狭い厨房では、一台に二役を持たせる機器が助けになります。
幅や奥行きの違う機種が同じメーカーの中にも用意されていることが多く、数センチの差で通路の広さが変わります。開業に必要な機器の全体は飲食店の開業に必要な厨房機器リストで確認できます。
図面を固める前に確かめたいこと
配置を決める前のチェック
- 何人で回すか決めたか
- 主役の機器の位置を決めたか
- 扉を開けたときも通れるか
- 放熱のすき間を取ってあるか
- 電源の容量と位置が合うか
- ガス・給排水の位置が合うか
- 手洗い専用の場所があるか
- 保健所に図面で事前相談したか
手洗い設備やシンクは営業許可の施設基準にかかわるため、狭いからといって省けません。詳しくは飲食店営業許可の施設基準をご覧ください。電源の容量は厨房の電気容量の考え方で解説しています。
開業後の手入れと修理まで考えた配置
見落とされやすいのが、開業してからの手入れです。狭い厨房では、機器をすき間なく詰めたくなりますが、そうすると冷蔵庫の放熱フィンや製氷機のフィルターに手が届かなくなります。
フィルターの掃除がしにくい場所にある機器は、どうしても掃除の回数が減ります。ほこりがたまれば冷えが弱り、電気代も上がりやすくなります。修理のときに機器を前へ引き出せないと、作業に時間がかかり、そのぶん営業を止める時間も長くなります。
配置を決めるときは、次の二つを図面に書き込んでおくと安心です。
- フィルターや放熱部の掃除のために、前面か側面に手が入るか
- 修理のときに機器を少し動かせる余裕と、給排水やガスの継ぎ目に手が届くか
当社は保守と修理も行っているため、開業前のレイアウトの段階から、開業後に手入れしやすい置き方をご提案できます。
狭い厨房のレイアウトは当社へご相談ください
豊翔メンテナンスサービスは、愛知県小牧市を拠点に、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業支援を行っています。業態のご提案や物件探しのサポート、補助金の情報提供(申請は専門家と連携)、厨房のレイアウト図の作成、機器の選定、主要メーカーの新品機器の販売、開業後の保守まで、厨房まわりをまとめてお手伝いできます。
ホシザキ、パナソニック、大和冷機、フクシマガリレイ、マルゼン、タニコーなど主要メーカーの機器を扱っているため、「この幅に収まる冷蔵庫はあるか」といった寸法からのご相談にも対応できます。設置時の電気・給排水の接続工事は提携業者と連携して手配します(内装・配管工事そのもの、中古機器の販売・買取は行っていません)。
物件の図面や寸法が分かる段階でご連絡いただければ、配置の案からご一緒します。お電話・Webでのご相談は無料です。レイアウト図の作り方は厨房レイアウト図の作成、機器の購入は機器販売をご覧ください。


