飲食店を開くには、保健所の飲食店営業許可が必要です。そして許可を受けるには、お店の設備が施設基準を満たしていなければなりません。

施設基準は内装や厨房の作り方そのものに関わるため、工事が終わってから「基準に合わない」と分かると、やり直しに費用と時間がかかります。

この記事のポイント

1令和3年6月から新しい施設基準。居抜きでも今の基準で判断される

2調理場の手洗いは手を触れずに水を止められる水栓(センサー式・レバー式など)

3シンク・給湯・冷蔵庫の温度計は、図面の段階で保健所に事前相談が確実

開業に必要な届け出の全体像は、飲食店の開業に必要な届け出・許可まとめで整理しています。

制度の内容や運用は、年度や地域で変わることがあります。この記事は一般的な目安です。最新の基準は、必ず店舗の所在地を管轄する保健所(市によっては市の保健所・保健センター)の案内で確認してください。

厨房のどこが見られるのか(全体図)

この記事で取り上げる4つの設備を、厨房の配置例に置くと次のようになります。

出入口・客席側 厨房(調理場) 洗浄用シンク 食洗機 給湯器 冷蔵庫 温度計 調理台・加熱機器 手洗い専用 非接触の水栓 1 2 3 4
1 手洗い 2 洗浄設備(シンク) 3 給水・給湯 4 冷蔵設備の温度計(配置は一例です)

施設基準は令和3年6月から新しくなっている

食品衛生法の改正にあわせて施設基準も見直され、愛知県の案内によると、令和3年6月1日以降に取得する許可から新しい基準が適用されています。

以前に営業していた店舗の居抜き物件でも、新しく許可を取るときは今の基準で判断されます。「前のお店はこれで営業できていたから大丈夫」とは限らない点に注意が必要です。居抜き物件の注意点は居抜き物件で飲食店開業、失敗しないための注意点もご覧ください。

1 手洗い設備:水栓は「手を触れずに止められる」ものに

新しい基準で特に話題になったのが、調理場内の手洗い設備の水栓です。

基準では、従業者の手指を洗浄・消毒する装置を備えた流水式の手洗い設備を必要な数だけ置くこと、そして水栓は洗った後の手指が再び汚れないような構造であることが求められています。

そのままでは合わない

  • 手でひねって回すハンドル式の蛇口
  • 調理用シンクで手洗いも兼ねる配置

愛知県の案内にある例

  • センサー式
  • 足踏み式
  • レバー式(手指で触れずに操作できるもの)

対象は調理場の中の手洗い専用設備で、トイレの手洗いとは別に必要です。なお、トイレ(便所)にも専用の流水式手洗い設備が求められています。

2 洗浄設備(シンク):用途に合った大きさと数を

食材や食器・調理器具を洗うための洗浄設備について、基準では「使用目的に応じた大きさ及び数」を備え、必要に応じて熱湯や蒸気を供給できることとされています。

つまり、何槽・何センチという数字が全国一律で決まっているというより、お店の業態や扱う量に合っているかで判断される部分があります。一方で、自治体によっては槽の数や大きさについて具体的な目安を示している場合もあります。

シンクで確かめたいこと

  • 食材用と食器・器具用を分けられるか
  • 寸胴や大きなバットが入る大きさか
  • 食洗機との組み合わせの扱い
  • 洗い物の量に対して数が足りるか

ここは自己判断せず、厨房のレイアウト図ができた段階で保健所に事前相談するのが確実です。

3 給水・給湯:必要な場所に、適切な温度で十分な量を

基準では、水道水など飲用に適した水を、施設の必要な場所に、適切な温度で十分な量供給できる設備が求められています。

給湯は、厨房機器の選び方とも関わります。給湯器の能力は、シンク・食洗機・手洗いなど同時に使う場所の合計で考えるのが基本です。

食洗機機種によって給湯の接続や、本体加温に必要な電源(200Vなど)が変わる
シンク洗い物が多い業態は、お湯の量が足りないと作業が回らない
配置電気・ガス・給排水の条件を、機器を決める前にそろえて確認

食洗機の電源や給湯の条件を後から知ると、工事のやり直しになりかねません。

4 冷蔵・冷凍設備:温度計を備える

基準では、食品を衛生的に扱うために必要な冷蔵・冷凍設備を、必要に応じて備えることとされています。さらに、冷蔵・冷凍・加熱などの設備には温度計を備えることが求められています。

業務用の冷蔵庫・冷凍庫は、扉に庫内温度の表示があるものが多いですが、表示の見やすさや設置場所も含めて、日々の温度管理がしやすいかを考えて選ぶと開業後が楽になります。

そのほか厨房まわりで見られる主なポイント

愛知県が示している共通の基準には、ほかにも次のような項目があります。

共通基準のその他の項目(抜粋)

  • 住居など食品を扱わない場所との区画
  • 床・壁・天井が清掃しやすいこと
  • 水を使う所の床は水を通さず排水が良い
  • 排水が十分で、汚水が逆流しない
  • ねずみ・昆虫の侵入を防ぐ設備
  • 洗剤・殺菌剤を食品と分けて保管
  • 汚れやにおいが漏れないごみ容器
  • 従業者の数に応じた更衣場所

内装・配管工事にかかわる部分は、内装業者や設備業者と一緒に、図面の段階で保健所に確認しておくと安心です。

開業前の進め方:保健所への事前相談を早めに

施設基準でつまずかないための流れは、おおむね次のとおりです。いちばん大事なのは、工事の前に図面で相談することです。

業態を決めるメニュー・席数
図面をつくるレイアウト・機器一覧
事前相談図面を持って保健所へ
工事・設置指摘を反映
検査・許可完成後に検査

厨房のレイアウトの考え方は飲食店の厨房レイアウトの基本、必要な機器の全体像は飲食店の開業に必要な厨房機器リストが参考になります。

厨房の設備計画は当社へご相談ください

豊翔メンテナンスサービスでは、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業支援を行っています。業態のご提案、物件探しのサポート、補助金の情報提供(申請は専門家と連携)、厨房のレイアウト図の作成、機器の選定、主要メーカーの新品機器の販売、そして開業後の保守まで、厨房まわりを一貫してお手伝いできます。

機器の設置時に必要な電気・給排水の接続工事は、提携業者と連携して手配できます(内装・配管工事そのもの、中古機器の販売・買取は行っていません。営業許可の申請はご自身で保健所へ行っていただきます)。

「この配置で保健所に相談して大丈夫?」「食洗機を入れたいが、給湯と電源はどうする?」といった段階からご相談ください。お電話・Webでのご相談は無料です。詳しくは開業支援、機器の購入は機器販売のページをご覧ください。

参照した公式情報:愛知県「新たな施設の基準について【令和3年6月以降の許可に適用】」(食品衛生法に基づく施設基準の共通事項)。基準の詳細や地域ごとの運用は、管轄の保健所でご確認ください。