飲食店の開業資金をすべて自己資金でまかなえる人は多くありません。そこで多くの方が検討するのが、政府系の金融機関である**日本政策金融公庫(公庫)**の創業向け融資です。
ただ、「どの制度を使えばいいのか」「何を準備すればいいのか」が分かりにくいのも事実です。この記事では、公庫の公式の案内をもとに、飲食店を開業する方が押さえておきたい基本を整理します。
この記事のポイント
1創業向けの代表的な制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」。飲食店には生活衛生向けの融資もある
2流れは相談 → 申込 → 面談 → 融資。カギは創業計画書の中身
3設備資金を申し込むなら厨房機器の見積書が必要。物件と機器を先に固めておく
融資制度の内容や条件は、年度や時期によって変わることがあります。この記事は一般的な目安です。最新の内容は、必ず日本政策金融公庫の公式サイトや支店の窓口で確認してください。
開業にかかる費用の全体像は、先に飲食店の開業資金、何にいくらかかる?で整理しておくと、この記事の内容がつかみやすくなります。
飲食店の開業で使われる公庫の主な融資
公庫の国民生活事業には、これから事業を始める方向けの融資がいくつかあります。飲食店の開業で検討されることが多いのは、次の2つです。
新規開業・スタートアップ支援資金
公庫の案内では、対象は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」とされています。お金の使いみちは、事業を始めるため、または始めた後に必要な設備資金と運転資金です。
| 項目 | 公式の案内(抜粋) |
|---|---|
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内(うち据置期間5年以内) |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率。一定の要件に当てはまる場合は特別利率 |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談 |
限度額は「上限」であって、その額まで借りられるという意味ではありません。実際に借りられる額は、創業計画や自己資金、返済の見通しなどから判断されます。
飲食店は「生活衛生」の融資も対象になる
飲食店は、理容・美容やクリーニングなどと同じく生活衛生関係の事業にあたり、公庫には生活衛生関係の事業を創業する方向けの「生活衛生新企業育成資金」もあります。
この制度では、生活衛生同業組合(振興計画認定組合)の組合員かどうかで、使える資金の範囲が変わります。また、設備資金の申込額によっては**都道府県知事の「推せん書」**が必要になる場合があります(公式の案内では、設備資金の申込金額が500万円以下の場合は不要とされています)。
どちらの制度が自分に合うかは、事業の内容や組合への加入状況で変わります。迷ったら、公庫の窓口で相談するのが確実です。
申込から融資までの流れ
公庫の案内では、創業予定の方の手続きは次の4段階です。
公庫のQ&Aでは、申込から融資までの期間は平均的には3週間程度で、条件によってはさらにかかる場合があるとされています。物件の契約や内装工事、機器の発注の支払い時期と重なるため、開業のスケジュールに余裕を持って組み込んでおくことが大切です。開業までの段取りは飲食店開業のスケジュールでも整理しています。
申込に必要な主な書類
公庫の「創業予定の方」の案内に挙げられている主な書類は次のとおりです。すべての方に全部が必要なわけではなく、状況に応じて変わります。
主な必要書類(公庫の案内より)
- 創業計画書
- 設備資金の場合は見積書
- 本人確認書類
- 許認可証(飲食店営業許可など)
- 法人の場合は履歴事項全部証明書
- 生活衛生関係は推せん書など
- 担保を希望する場合は不動産の登記簿謄本
- 送金先口座の通帳の写し
飲食店の場合、許認可証として飲食店営業許可が関わります。許可の取り方は飲食店の開業に必要な届け出・許可まとめをご覧ください。
創業計画書で見られること
公庫のQ&Aでは、自己資金は重要な要素のひとつとしながらも、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要とされています。また、出店する場所が決まっていないと資金計画や売上・経費の予測が立てられないため、出店地を決めてから申し込むよう案内されています。
説明しにくい計画
- 物件が決まっていない
- 設備費が「だいたいこのくらい」の概算だけ
- 機器の容量や台数の根拠がない
- 開業後の運転資金を見込んでいない
説明しやすい計画
- 出店地が決まり、家賃や広さが分かっている
- 厨房機器の見積書がそろっている
- 業態・席数から機器を選んだ理由を話せる
- 軌道に乗るまでの資金を別に見込んでいる
特に、厨房機器は開業資金の中でも大きな割合を占めやすい項目です。業態と席数に合った機器を選び、その見積書を用意することは、借入額の根拠を示すうえでも、開業後の無駄な出費を防ぐうえでも役に立ちます。
厨房設備の見積りをそろえる手順
設備資金の見積書を作るには、どの機器を何台入れるかが決まっている必要があります。おおまかな順番は次のとおりです。
必要な機器の全体像は飲食店の開業に必要な厨房機器リスト、補助金の情報は飲食店の開業で使える補助金にまとめています。融資と補助金は仕組みが違い、補助金は先に費用を払い、あとから支給される後払いのものが多いため、資金繰りの面でも両方を合わせて考えておくと安心です。
開業資金と厨房設備の計画は当社へご相談ください
豊翔メンテナンスサービスは、愛知・岐阜・三重で飲食店の開業支援を行っています。業態のご提案、物件探しのサポート、補助金の情報提供(申請は専門家と連携)、厨房のレイアウト図の作成、機器の選定、ホシザキ・パナソニック・大和冷機・フクシマガリレイ・中西製作所・マルゼン・タニコーなど主要メーカーの新品機器の販売、そして開業後の保守まで、厨房まわりを一貫してお手伝いできます。
融資の申込で必要になる厨房機器の見積書も、業態と物件に合わせた機器選定から作成できます。設置時の電気・給排水の接続工事は提携業者と連携して手配します(内装・配管工事そのもの、中古機器の販売・買取は行っていません。融資の申込はご自身で公庫へ行っていただきます)。
「公庫に出す見積りを作りたい」「この予算で機器はそろう?」といった段階からご相談ください。お電話・Webでのご相談は無料です。詳しくは開業支援、機器の購入は機器販売のページをご覧ください。
参照した公式情報:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」「生活衛生新企業育成資金」「創業融資のご案内」「創業予定の方(融資手続きの流れ・必要書類)」「Q&A(START 政策金融公庫の創業支援)」。制度の内容は年度や時期で変わるため、最新は公式の案内でご確認ください。


