閉店後に洗い物をまとめて流していたら、床のグリストラップのふたのすき間から水がにじんできた。シンクの排水口から、濁った水がごぼごぼと戻ってくる。グリストラップのあふれは、たいてい一番忙しい時間か、片付けの最後に起きます。
床が濡れて滑るうえ、油の混じった水は臭いも強く、そのまま営業を続けるのは難しくなります。まずは慌てずに、どこで詰まっているのかをしぼるところから始めてください。
この記事のポイント
1あふれる原因はグリストラップの中の詰まりか、出口から先の排水管の詰まりのどちらか
2水を流すのを止めてからふたを開け、水位を見ると、どちらかの見当がつく
3掃除しても水位が下がらない、何度もあふれる場合は奥の配管の詰まりを疑って業者へ
グリストラップの日ごろの掃除の頻度はグリストラップの清掃頻度・やり方、排水口や配管全体の詰まりは厨房の排水が流れない・悪臭がする原因と対処法で説明しています。この記事では、グリストラップがあふれる・逆流するときに絞って書きます。
よくある原因
グリストラップは、厨房の排水をいったんためて、残菜と油を分けてから下水へ流す槽です。多くは3つの部屋に分かれていて、水は左から右へ順に流れていきます。
あふれるときの原因は、この図の番号の場所におおむね当てはまります。
- バスケットの残菜:網の目が野菜くずやご飯粒でふさがると、1つ目の部屋で水がせき止められます。いちばん多く、いちばん簡単に直る原因です。
- 油の層が厚く固まっている:浮いた油を何日もすくわずにいると、表面がふたのように固まり、水の通り道を狭くします。
- 底の汚泥がたまっている:沈んだ汚れが積もると、槽の中で水をためられる量が減り、少しの排水でもあふれやすくなります。
- 出口から先の詰まり:トラップ管や、その先の排水管・排水ますに油が固まってこびりつくと、グリストラップの中をきれいにしても水が抜けません。
もうひとつ見落とされがちなのが、一度に流す量です。閉店後にシンクの水を一気に抜き、同時に食洗機も排水する。槽の大きさに対して流す量が多すぎると、中がそれほど汚れていなくても一時的にあふれることがあります。
今すぐできる対処法
まずは水を止めます。蛇口を閉め、食洗機や製氷機など排水が出る機器の運転も止めてください。流し続けるほど、あふれる量が増えます。
床の水は先に拭き取り、滑らないようにしてから作業に入ります。ゴム手袋をして、ふたを開けて水位を見てください。水位の高さで、詰まりの場所の見当がつきます。
| 見えたこと | 考えられる場所 | まずやること |
|---|---|---|
| 1つ目の部屋だけ水位が高い | バスケットの目詰まり | バスケットを引き上げ、残菜を捨てる |
| 表面に油が厚く固まっている | 油の層 | 油をすくい取る(排水に流さない) |
| どの部屋も水位がふちまで高い | 出口から先の詰まり | 水を流さずに待ち、業者へ相談 |
| グリストラップは普通、シンクだけ逆流 | シンクからグリストラップまでの配管 | シンクの排水口のゴミを取る。直らなければ業者へ |
バスケットの掃除と油の除去で水位がすっと下がれば、ひとまず使えます。すくった油や残菜は、排水に戻さずに処分してください。清掃で出る油や汚泥は、量や地域によって産業廃棄物として処理が必要になる場合があります。お店のある自治体のルールも確かめておきましょう。
やってよいこと
- 水を止めて、床を拭いてから作業する
- バスケットの残菜を捨てる
- 浮いた油をすくって取り除く
- 水位が下がるか、しばらく様子を見る
やらない方がよいこと
- 熱湯を大量に流して油を溶かそうとする
- 強い薬剤をまとめて入れる
- すくった油を別の排水口に流す
- あふれたまま営業を続ける
熱湯で油を流すと、その場では流れたように見えても、先の配管で冷えてまた固まります。詰まる場所が奥へ移るだけなので、かえって直しにくくなります。
自分でできるのは、ここまで
業者を呼ぶべき目安
どの部屋も水位が高いままのときは、出口から先が詰まっている可能性が高く、店で直すのは難しくなります。次のどれかに当てはまれば、相談してください。
業者を呼ぶ目安
- バスケットと油を取っても水位が下がらない
- どの部屋もふちまで水がある
- 複数のシンクや排水口で流れが悪い
- 掃除しても数日でまたあふれる
- 底の汚泥が多く、店では取りきれない
- 厨房の外の排水ますまで水が上がっている
- 強い臭いが掃除しても取れない
- 食洗機などの機器の排水まで止まっている
排水管の奥の詰まりを抜く作業や、グリストラップ本体・配管の工事は、排水設備を扱う業者の仕事です。当社は配管の工事そのものは行っていませんが、食洗機や製氷機など厨房機器の排水が原因になっていないか、機器側から確かめることができます。どこに頼めばよいか分からない段階でも、症状をうかがって切り分けのお手伝いをします。
機器の点検や修理の費用は、機器や状態で変わります。出張費と基本作業費の目安はサービス・料金をご覧ください。食洗機の排水まわりの不調は業務用食洗機の水漏れでも説明しています。
予防のポイント
あふれの多くは、掃除の間隔があいたときに起きます。毎日やること、ときどきやることを分けておくと続けやすくなります。
あわせて、皿やフライパンの油は流す前に紙で拭き取る、閉店後の排水は一度に抜かずに少しずつ流す、という2つの習慣も効きます。とくに揚げ物や中華の多いお店は油の量が多いので、すくう間隔を短めにしておくと安心です。
グリストラップの設置や大きさについては飲食店にグリストラップは必要?にまとめています。厨房機器の点検とあわせて排水まわりの状態も見ておきたい場合は、保守契約で何をしてくれる?もご覧ください。


