業務用エアコンは、止まってから大切さに気づく機器です。冷蔵庫と違って食材が傷むわけではないので、点検は後回しにされがちです。ところが真夏の営業中に冷房が止まると、お客様は汗をかきながら食事をすることになり、厨房のスタッフは火の前で倒れそうになります。

「法律のフロン点検はやっているから、それで十分では?」という声もよく聞きます。実は、フロンの簡易点検と、エアコンを止めないための保守点検は目的が別物です。この記事では、その違いと、飲食店のエアコンで点検しておきたい所を整理します。

この記事のポイント

1飲食店のエアコンは油煙と熱で汚れやすく、家庭やオフィスより負担が大きい

2フロンの簡易点検は漏れを見つけるための法律の点検。故障を防ぐ点検とは目的が違う

3保守点検は冷房・暖房を本格的に使う前に入れると、繁忙期の停止を避けやすい

真夏に止まると何が起きるか

エアコンの故障は、冷蔵庫と比べて「営業を続けられなくはない」と思われがちです。しかし飲食店では、売上にそのまま響きます。

壊れてから呼ぶと

  • 暑さで客席の滞在が短くなる・予約のキャンセル
  • 厨房が高温になり、スタッフの体調が心配に
  • 修理業者の予約が埋まる夏に、すぐ来てもらえない
  • 部品の取り寄せで数日かかることも

点検で先に気づくと

  • 効きの弱り・水漏れの手前で見つかる
  • 夏が来る前の落ち着いた時期に直せる
  • 定休日に合わせて作業を予定できる
  • 修理か入れ替えかを比べて選べる

業務用エアコンの修理業者は、暑くなり始めると依頼が集中します。故障した日に来てもらえるとは限らないのが、夏のエアコンの怖いところです。

飲食店のエアコンが傷みやすい理由

同じ業務用エアコンでも、飲食店は使う環境が厳しくなります。

油煙を吸い込む調理の油分がフィルターや熱交換器にこびりつき、効きが落ちる
熱の多い室内コンロやフライヤーの熱で、冷房がフル運転になりやすい
ドレンの詰まり汚れが排水の通り道にたまり、天井からの水漏れにつながる

油を含んだ汚れは、フィルターを水洗いするだけでは落ちきらず、奥の熱交換器まで届きます。汚れがたまるほど冷えが悪くなり、同じ温度にするために長く運転するので、電気代も上がります。汚れやすさと清掃の頻度は業務用エアコンのクリーニング頻度で詳しく説明しています。

フロンの簡易点検と保守点検の違い

業務用エアコンを使うお店には、フロン排出抑制法で3か月に1回以上の簡易点検が求められています。これは機器の管理者(原則として所有者)の義務で、冷媒のフロンが漏れていないかを、目で見て、耳で聞いて確かめるものです。

一方の保守点検は、エアコンが故障せずに冷え続けるように、汚れや部品の弱りを見るための点検です。法律の義務ではありませんが、営業を止めないための備えになります。

フロンの簡易点検 保守点検
目的 フロンの漏れを早く見つける 故障を防ぎ、効きを保つ
根拠 フロン排出抑制法の義務 法律の義務ではない(お店の判断)
頻度 3か月に1回以上 契約や使い方で決める
行う人 お店の方でも行える 業者の技術者
主に見る所 異音・振動、油にじみ、傷・さび、熱交換器の霜付き フィルター・熱交換器の汚れ、ドレン、効き、室外機まわり

見る所には重なる部分もあります。異音や油にじみは、フロン漏れのサインであると同時に、故障の前ぶれでもあるからです。保守点検のときに簡易点検の項目もあわせて確かめておくと、二度手間になりません。

なお、圧縮機の出力が一定以上(7.5kW以上)の大きな機器は、簡易点検に加えて、専門の知見を持つ人による定期点検も必要です。対象や頻度は機器の種類と規模で決まっています。簡易点検の中身と記録の残し方はフロン排出抑制法の「簡易点検」とはにまとめました。

制度の内容や運用は、改正などで変わることがあります。ここでの説明は一般的な目安です。最新の内容は、環境省・経済産業省の「フロン排出抑制法」の案内で確認してください。

保守点検で見る所

業者の保守点検では、次のような所を確かめます。

業務用エアコンの主な点検項目

  • フィルターの汚れ・目詰まり
  • 熱交換器の油汚れ・ほこり
  • ドレンパン・ドレン配管の詰まり
  • 吹き出す風の温度と効き具合
  • 運転中の異音・振動
  • 室外機まわりのふさがり・汚れ
  • 配管の油にじみ・傷・さび
  • リモコンのエラー表示の履歴

室外機は見落とされやすい場所です。前に荷物や段ボールが置かれていたり、周りが熱のこもる場所だったりすると、熱をうまく逃がせずに効きが落ちます。効きが悪いときの原因の切り分けは業務用エアコンが効かない・冷えない原因、天井からの水漏れは業務用エアコンから水漏れする原因をご覧ください。

点検に向いた時期

エアコンの点検は、使い始める前に入れるのが基本です。冷房と暖房を切り替える前の、比較的落ち着いた時期を狙います。

春冷房の本番前に、効きと水漏れを確認
夏フル運転。簡易点検で異音・霜付きを見る
秋暖房の前に、汚れと部品の弱りを確認
冬簡易点検を続け、気になる所は早めに相談

とくに春の点検は効果が大きいと感じています。冬の間に使っていなかった冷房は、汚れや詰まりが残ったまま夏を迎えやすく、暑くなった最初の週に不調が集中するからです。

お店の手入れと業者の点検の分担

毎日の手入れと業者の点検を分けておくと、費用を抑えながら止まりにくくできます。

お店でできること

  • フィルターのほこり取り(取扱説明書の範囲で)
  • 室外機の前に物を置かない
  • 3か月に1回の簡易点検と記録
  • 効き・音・におい・水漏れの変化に気づく

業者に任せること

  • 熱交換器の油汚れの洗浄
  • ドレンの詰まりの解消
  • 冷媒の漏れの調査と修理
  • 部品の弱りの見極めと交換

天井の室内機を脚立に乗って分解するのは危険なので、無理はしないでください。

上の「業者に任せること」のうち、当社でお受けしているのはエアコン内部の洗浄です。冷媒の漏れの調査・修理や部品の交換は、空調設備の専門業者や、メーカーのサービス窓口にご相談ください。冷蔵庫や製氷機などの点検をまとめて頼む方法は厨房機器の保守契約で何をしてくれる?で紹介しています。

業務用エアコンの洗浄は当社へ

豊翔メンテナンスサービスは、愛知県小牧市を拠点に、愛知・岐阜・三重の飲食店で業務用エアコンの洗浄を行っています。冷蔵庫・製氷機・食洗機などの厨房機器の保守・修理も行っています。業界歴15年です。

エアコンの洗浄では、油煙で汚れたフィルター・熱交換器・ドレンパンをきれいにし、効きの悪さやにおい、水漏れの改善を目指します。作業中に、異音や油にじみなど気になる所に気づいたときはお伝えします。料金はお問い合わせください。

なお、当社では業務用エアコンの修理(部品の故障、冷媒の不足・漏れ)と、フロン排出抑制法の定期点検は承っていません。簡易点検は、この記事とフロン排出抑制法の「簡易点検」とはを参考に、お店で続けてください。

「夏の前に一度洗浄してほしい」「油汚れがひどいので見てほしい」といったご相談を受け付けています。お電話・Webでのご相談は無料です。

参照した公式情報:環境省「フロン排出抑制法ポータルサイト」(よくある質問)、環境省「業務用冷凍空調機器ユーザーによる簡易点検の手引き(業務用エアコン編)」。詳しくは環境省・経済産業省の案内で確認してください。