業務用冷蔵庫の扉が最後まで閉まらない、閉めたはずなのに少し開いている。忙しい営業中ほど気づきにくく、朝来たら庫内の温度が上がっていた、ということも起きます。
扉のすき間から冷気が逃げると、冷えが弱くなり、霜も増えます。原因は機械の故障より、置き方や使い方にあることが少なくありません。
この記事のポイント
1多い原因は本体の傾き・物のはみ出し・パッキンの汚れで、自分で直せることが多い
2扉が下がった、ちょうつがいがガタつくときは部品の点検が必要
3閉まらない間は庫内の温度を確かめ、傷みやすい食材から守る
よくある原因
扉が閉まらない原因になりやすい場所を、冷蔵庫を正面から見た図にまとめました。
- 本体の傾き:脚(アジャスター)の高さがずれたり床が傾いていたりすると、扉が自然に戻らない。前のめりに傾くと、閉めても勝手に開くことがある
- 物のはみ出し:トレーやラップ、袋の端が扉に挟まる。詰め込みすぎて内側から扉を押していることもある
- ドアパッキンの汚れ・劣化:汚れやねじれで密着しない。硬くなるとすき間ができる
- ちょうつがい(ヒンジ)の緩み・摩耗:扉が下がって、パッキンの当たる位置がずれる
- 霜・氷:扉のふちやパッキンに霜がつき、扉がそれ以上閉まらない
症状ごとに分けると、次のようになります。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 最後の数cmが閉まらない | 物のはみ出し、霜、パッキンのねじれ |
| 閉めたのに少しずつ開く | 本体の前のめりの傾き、パッキンの密着不足 |
| 扉の角がこすれる・下がって見える | ちょうつがいの緩み・摩耗 |
| 閉めた直後だけ開けにくい | 庫内の空気が冷えて縮むため。少し待つと開けやすくなる |
最後の行は故障ではありません。閉めた直後に庫内の空気が冷えて縮み、扉が吸い付くように重くなる現象です。
冷凍庫の扉が開かない・引っかかるとき
閉まらないのとは逆に、扉が開かない、途中で引っかかるという相談もあります。冷凍庫で起きやすい症状です。
| 開かないときの様子 | 考えられる原因 | まずすること |
|---|---|---|
| 閉めた直後だけ重い | 庫内の空気が冷えて縮み、扉が吸い付く | 少し待ってから開ける |
| いつ開けても重い・張りついている | パッキンや扉のふちに霜や氷がつき、凍りついている | ぬるま湯で絞った布を当てて溶かす |
| 途中まで開いて止まる | 庫内の物が扉の内側に当たっている | 少しだけ開け、当たっている物を奥へ戻す |
| 取っ手を引いても手ごたえがない | 取っ手や留め具(ラッチ)の不具合 | 無理に引かずに相談する |
凍りついた扉を、ドライバーや包丁でこじ開けるのはやめてください。パッキンが切れて、閉まらない・冷えないという次の故障につながります。
冷凍庫の詰め込みすぎは故障につながる?
詰め込みすぎそのものですぐ壊れるわけではありませんが、故障の原因を増やします。冷気の吹き出し口や吸い込み口が物でふさがれると庫内に冷えのむらができ、冷やすために機械が長く動き続けます。はみ出した物が扉を押して閉まりきらなくなれば、湿気が入って霜が増えます。吹き出し口の前は空けて、扉の内側に物が当たらない量にとどめてください。
今すぐできる確認
扉が閉まらないときの確認
- 扉のふちに物が挟まっていないか
- 棚から物がはみ出していないか
- パッキンにねじれ・汚れがないか
- 前から見て本体が傾いていないか
- 扉のふちに霜がついていないか
- 扉を持ち上げるとガタつかないか
パッキンの汚れは、ぬるま湯で絞った布で拭き取ります。ねじれている部分は、指で押して溝に戻すと密着が戻ることがあります。紙を挟んで扉を閉め、軽く引いてスッと抜ける場所があれば、そこは密着していません。パッキンの見方はドアパッキンの劣化サインと交換の目安でくわしく紹介しています。
傾きは、脚の高さを調整できる機種なら直せる場合があります。中身が入ったまま本体を持ち上げたり、無理にずらしたりすると危ないので、重いものは一度出してから行ってください。
扉のふちの霜は、金属のへらや刃物で削らないでください。パッキンや本体を傷めます。霜が厚く、くり返しつく場合は業務用冷凍庫が霜だらけになる原因もご覧ください。
扉が閉まらない間は、庫内の温度表示を確かめ、温度が上がっていたら肉・魚・乳製品など傷みやすい食材から別の冷蔵庫へ移します。
自分でできるのは、ここまで
業者を呼ぶべき目安
- 扉が下がって、角がこすれる・パッキンが当たらない
- ちょうつがいがガタつく、ねじが外れている
- パッキンが切れている、硬くなって戻らない
- 確認をしても、閉めた扉が勝手に開く
- 扉まわりの霜や結露が、拭いてもすぐ戻る
- 扉を閉めても庫内の温度が下がらない
ちょうつがいやパッキンは機種ごとに部品が違うため、型式に合った部品での交換が必要です。費用は機器や状態で変わります。扉を閉めても冷えが戻らない場合は、業務用冷蔵庫が冷えない原因も確かめてください。修理の内容は業務用冷蔵庫・冷凍庫の修理にまとめています。
予防のポイント
扉の不具合は、毎日の使い方の積み重ねで起きることが多いものです。扉を足で蹴って閉める、扉にもたれる、重いものを扉のポケットに入れる、といった使い方は、ちょうつがいを早く傷めます。
定期点検では、扉の閉まり具合やパッキンの状態もあわせて見ます。点検の中身は業務用冷蔵庫の定期点検は何をする?、当社の年間保守契約(1台 年15,000円・税抜)はサービス・料金をご覧ください。
よくある質問
Q. 扉が少し開いたまま一晩たっていました。中の食材は使えますか? A. まず庫内の温度表示を確かめてください。温度が上がっていた場合、どのくらいの時間その温度だったかで判断が変わります。肉・魚・乳製品など傷みやすいものは、迷ったら使わないほうが安全です。温度の記録をつけておくと、こうしたときの判断がしやすくなります。
Q. 扉が閉まらないのに冷えています。様子を見てもいいですか? A. すき間が小さいうちは冷えて見えても、入りこんだ湿気が霜になり、少しずつ冷えが弱くなります。コンプレッサーが長く動くぶん電気代も上がるので、早めに原因を確かめてください。
Q. 冷凍庫の扉が凍りついて開きません。お湯をかけてもいいですか? A. 熱いお湯を直接かけるのはおすすめしません。電気の部品や床に水が回るおそれがあります。ぬるま湯で絞った布を扉のふちに当て、少しずつ溶かしてください。くり返し凍りつく場合は、パッキンのすき間や霜取りの不調が考えられるので点検をご相談ください。
Q. 引き戸のショーケースが重い・閉まりきらないのも同じ原因ですか? A. 引き戸は、レールの溝にたまった汚れや、戸車(下のローラー)のすり減りで動きが重くなることがあります。レールの汚れを拭いても直らない場合は、戸車の点検が必要です。
Q. 修理代はどのくらいかかりますか? A. 交換する部品と機器の状態で変わります。当社の単発の修理は、出張費 愛知県内6,000円〜と基本作業費6,000円〜(税抜)に部品代が加わります。頼み先に迷ったら業務用冷蔵庫・冷凍庫の修理はどこに頼むかもご覧ください。


